更新日:2026年03月26日
腸活におすすめの食べ物10選!腸内環境を整えるための食事のポイントも解説
監修:内藤 裕二 先生(京都府立医科大学大学院 医学研究科 教授/一般社団法人 日本ガットフレイル会議 理事長)
INDEX
「腸活」とは、生活習慣などを見直して腸内環境のバランスを整えること。腸内環境が改善されると、便秘解消や免疫機能の維持などさまざまな嬉しい効果が期待できます。私たちの腸内には1,000種類以上もの細菌が生息しており、互いにバランスを取りながら共存しています。この腸内細菌のバランスは、食事内容や生活習慣、ストレス、年齢などによって変化し、私たちの腸の機能に影響を与えているのです。この記事では、腸活のメリットや、腸内環境を整えるための食事のポイントやおすすめの食べ物、そして併せて取り入れたい腸活習慣などをわかりやすく解説します。
腸活って?腸内環境を整えるメリットとは
ここでは腸活の概要とそのメリットについて詳しく解説します。
腸活とは
私たちの腸内には、「腸内細菌」が種類ごとに集まって腸の壁に生息しています。その様子がお花畑のように見えることから、一般的に「腸内フローラ(英語でflora:植物相、植生)」と呼ばれています。
腸内細菌は、腸内に約1,000種類・100兆個存在し、「善玉菌(有用菌)」(※以下、善玉菌)、「悪玉菌(有害菌)」(※以下、悪玉菌)、「日和見(ひよりみ)菌」の3種類に分けることができます。
一般的には、腸内細菌の理想的な比率は「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」といわれています。しかし、食物繊維の不足や偏った食生活などによって悪玉菌が増えると、このバランスが崩れやすくなります。
最近の研究では、従来「善玉菌」とされていた菌の中にも良い働きが弱いものがいたり、反対に「悪玉菌」や「日和見菌」と分類されていた菌の中にも健康にプラスの作用をもつものがいることがわかってきました。さらに、腸内細菌にはバランスだけでなく、多様性も重要だと考えられています。腸内細菌は、酪酸をはじめとする「短鎖脂肪酸」など、私たちが作り出せない物質を作り、健康の土台を支えています。
腸活とは、この腸内細菌のバランス(腸内フローラ)を整え、腸内環境を良好に保つ生活・活動全般のことです。腸内環境は、便通の改善だけにとどまらず、免疫機能、精神の安定など全身の健康状態に影響することが、近年の研究で明らかになってきています。
腸内環境を整えるメリット
腸内環境は、心身の健康にさまざまな影響を与えています。
善玉菌が増えて腸内環境が整うと、便秘や下痢の改善、排便リズムの安定、免疫機能の維持などが期待できます。また、腸で作られるセロトニンやGABAといった神経伝達物質が、気分の安定にも関わっていると考えられています。
さらに、腸は自律神経を介して脳と密接につながっており、この関係は「脳腸相関」として知られています。腸内環境が乱れると、その影響は脳にも及び、うつな気分、睡眠不足、認知機能の低下などを引き起こす可能性があると指摘されています。
また、腸管の上皮細胞は、栄養の消化・吸収だけでなく、外から抗原の侵入を防ぐ「バリア機能」も持っています。腸内フローラのバランスが崩れると、この腸管バリアが弱まり、腸の炎症だけでなく全身の慢性炎症につながるとされています。
腸活における食事のポイントは「シンバイオティクス」と「ポストバイオティクス」
腸活の方法としては、善玉菌を摂る「プロバイオティクス」と、善玉菌のエサとなる成分を摂る「プレバイオティクス」が挙げられます。これらに加え、より効果的に腸内環境を改善できる方法として近年注目されているのが「シンバイオティクス」と「ポストバイオティクス」です。
「シンバイオティクス」とは、「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」を併せて行う方法のこと。「ポストバイオティクス」は、腸内細菌が作る代謝産物を摂る方法のことです。
ここでは、「プロバイオティクス」「プレバイオティクス」「シンバイオティクス」「ポストバイオティクス」について詳しく解説します。
善玉菌そのものを摂取する(プロバイオティクス)
プロバイオティクスとは、腸に良い働きをする微生物のことです。これらは腸内で善玉菌として活動し、腸内環境を整える働きがあります。代表的なプロバイオティクスに、下記の4つの菌があります。
・乳酸菌
乳酸菌は、糖を分解して乳酸を作り出す細菌です。この乳酸菌によって腸内は弱酸性になり、悪玉菌の増殖が抑えられます。乳酸菌は酸素がある環境とない環境のどちらでも生息することができ、主に小腸下部~大腸に存在しています。
・ビフィズス菌
ビフィズス菌は、乳酸の他に酢酸も作り出します。ビフィズス菌は酸素に弱いという性質があり、小腸は酸素が存在しやすいためビフィズス菌は少ししか生息できません。そのため、無酸素の大腸に多く存在しています。
・酪酸菌
酪酸菌は酪酸を作り出し、腸内を善玉菌が棲みやすい環境にして、腸内フローラのバランスを整える働きがあります。酪酸菌の産生する酪酸は、大腸の表面を覆う上皮細胞内で代謝され、大腸の主要なエネルギー源となる重要な物質です。また酪酸には、腸管内壁の表面を覆う粘液の分泌を高め、大腸のバリア機能を高める働きがあります。これによって細菌などが体内に侵入するのを防ぐ役割も果たしています。
・糖化菌
糖化菌は、炭水化物分解菌の総称であり、腸内で乳酸菌やビフィズス菌を増やすように働きます。酸素がある環境を好むため、主に小腸上部に存在しています。
さらに良い腸内環境にするには、特定の菌に偏らないよう、腸内細菌の多様性を高めることが大切です。プロバイオティクスの一環として、食事の改善と併せてサプリメントや整腸剤を活用することも良いでしょう。
善玉菌のエサとなるものを摂取する(プレバイオティクス)
プレバイオティクスとは、腸内で善玉菌のエサとなる成分のことです。この成分は胃腸で消化されずに善玉菌を育てるための栄養源となって、善玉菌の活動を助けます。代表的なものには、オリゴ糖や食物繊維があります。オリゴ糖はバナナや玉ねぎなどに、食物繊維は大麦や海藻類などに多く含まれています。
食物繊維の中でも、近年注目されているのは腸内細菌が利用しやすい「発酵性食物繊維」です。ここでいう「発酵」とは、腸内細菌が食物繊維をエサとして代謝物を生み出すことを意味します。その代表的な物質が、酪酸や酢酸といった「短鎖脂肪酸」です。短鎖脂肪酸は、腸内を弱酸性にする他、大腸のぜん動運動(腸の内容物を先へ先へと運ぶための運動)のエネルギー源となる、腸のバリア機能を保つ、腸の免疫機能を整える、大腸の血流を増やすといった、さまざまな働きを担っていることがわかっています。
特に腸内細菌によって発酵されやすいものは「高発酵性食物繊維」と呼ばれ、豆類、いも類、穀物、きのこ類、野菜、果物などに多く含まれています。
善玉菌と善玉菌のエサを一緒に摂取する(シンバイオティクス)
シンバイオティクスとは、善玉菌(プロバイオティクス)と善玉菌のエサ(プレバイオティクス)を組み合わせて摂取する方法のことです。
善玉菌そのものと、その栄養源となるエサを同時に摂ることで、それぞれ単独よりも効果が期待できます。
腸内細菌が作る代謝産物を摂取する(ポストバイオティクス)
ポストバイオティクスとは、腸内細菌が作り出す、宿主の健康に有用な代謝物のことです。代表的なポストバイオティクスとして「短鎖脂肪酸」が挙げられます。短鎖脂肪酸は有機酸の一種で、腸内細菌が食物繊維やオリゴ糖をエサにして生み出す成分のこと。人の体に有益に働く短鎖脂肪酸は、酪酸、酢酸、プロピオン酸の3つです。
腸活におすすめの食べ物10選
腸内環境の改善に役立つとされる発酵食品や、発酵性食物繊維を多く含む食べ物を中心に、代表的なものを紹介します。
豆類
大豆、あずき、ひよこ豆などの豆類には、「レジスタントスターチ」が豊富に含まれています。レジスタントスターチは「難消化性でんぷん」とも呼ばれ、発酵性食物繊維の一種です。小腸で消化・吸収されずに大腸まで届き、腸内環境に良い影響を与えるといわれています。
納豆
納豆には納豆菌が含まれていて、腸内で善玉菌として働き、悪玉菌の増殖を抑えることで腸内環境を整える働きがあります。原料である大豆には発酵性食物繊維も豊富に含まれており、善玉菌のエサになって酪酸などの短鎖脂肪酸の産生を促し、腸内を弱酸性にして悪玉菌の増殖を抑えます。
味噌
大豆を発酵させて作られる味噌は、善玉菌である乳酸菌を含んでいます。味噌汁として摂取する場合、善玉菌のエサになる発酵性食物繊維を多く含むごぼうやだいこん、人参、なめこ、かぼちゃなどを一緒に摂取するのが、腸活ではおすすめです。減塩タイプのものを選ぶとより良いでしょう。
海藻類
わかめや昆布、もずくなどの海藻類も発酵性食物繊維を多く含みます。味噌汁に加えたり、普段の食事に市販のもずく1パックをプラスしたりなど、手軽に取り入れやすい食品の一つです。
ヨーグルト
ヨーグルトは、乳原料を乳酸菌で発酵させて作られているため、乳酸菌を多く含んでいます。さまざまな種類があり、ビフィズス菌を加えた製品などもあります。
チーズ
チーズも乳酸菌を含む発酵食品です。チーズは製法や材料によって、「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」に大きく分けられます。ナチュラルチーズには、発酵の過程で生まれる乳酸菌が含まれており、腸内環境を整えることが期待できます。一方、プロセスチーズは加熱して作られるため、熱に弱い生きた乳酸菌は含まれません。
キムチ
キムチは植物性乳酸菌を多く含む発酵食品です。乳製品に含まれる動物性乳酸菌よりも、植物性乳酸菌の方が腸内生存率が高いといわれています。食物繊維と善玉菌の両方を同時に摂れるため、腸活におすすめの食品の一つです。
ぬか漬け
ぬか漬けは、ぬかに塩と水を混ぜて乳酸発酵させた「ぬか床」に野菜を漬けた食べ物で、酪酸菌を摂取できる食べ物の一つです。ぬか床に含まれる乳酸菌や酪酸菌が腸内環境を整えるといわれています。ただし、漬物は塩分量が高いため、摂取は適量にとどめることが大切です。
きのこ類
しいたけ、なめこなどのきのこ類も、発酵性食物繊維を多く含みます。カロリーが低いため、食事制限中でも気にせずに摂取できるという点でもおすすめです。
全粒穀物
玄米、大麦、オーツ麦などの全粒穀物は、発酵性食物繊維に加えてビタミンやミネラルなどの栄養素も多く含みますが、これらの栄養素は精白(製粉)の過程で失われてしまいます。現代では、日本人の食物繊維摂取量が少ないといわれていますが、白米や精製小麦のパン・麺類を食べる機会が多いことがその一因ともいわれています。少量ずつ白米に玄米を混ぜて食べるなど、続けやすい方法で取り入れてみると良いでしょう。
腸活における食事で、避けるべき行動は?
腸活を効果的に行うためには、腸内環境を乱す行動を避けることも大切です。ここでは、腸の健康を維持するために避けたい習慣について解説します。
朝ごはんを抜く
腸活のためには、朝食をしっかり取るようにしましょう。朝には「大ぜん動」と呼ばれる大きな腸のぜん動運動が起こるため、朝食を取ることで腸が刺激され、排便が促されます。
特に朝食で炭水化物を摂ると、体内時計のリズムが調整されるといわれています。その際は発酵性食物繊維の多い、全粒穀類の主食がおすすめです。ご飯であれば玄米や雑穀ご飯、パンなら全粒粉パン、シリアルの場合はオートミールや小麦ブランなど、全粒穀類などを選ぶようにしましょう。
悪玉菌を増やす食べ物の過剰摂取
脂質や動物性タンパク質を過剰に摂取すると、腸内で悪玉菌が優位になりやすくなります。近年では、現代の日本人の食生活はタンパク質・脂質ともに動物性食品への依存が高まっているといわれており、腸内環境の乱れにつながる可能性があります。肉料理や揚げ物、ファストフード、スナック菓子、洋菓子といった高脂質・高カロリーの食品の取り過ぎには注意しましょう。また、塩分の多い食べ物も腸内フローラのバランスを崩す原因となります。砂糖は腸内で悪玉菌のエサになるため、甘いものの取り過ぎにも気をつけましょう。
アルコールの過剰摂取
アルコールの摂取は肝臓だけでなく、消化器系全体に影響を及ぼします。アルコールと腸内フローラの関連は完全には明らかになっていませんが、アルコールを摂りすぎると腸内で悪玉菌が増え、腸内フローラのバランスが乱れているという研究報告があります。
食事の改善と併せて取り入れたい腸活習慣
腸活の効果を高めるためには、食事に加えて生活習慣の改善も重要です。ここでは、腸の働きを支えるために意識したい生活習慣について解説します。
適度に運動する
適度な運動は、腸のぜん動運動を促すことで便通改善に役立ちます。運動習慣のなかった人が持久力を鍛える運動を6週間続けると、酪酸菌が増えることが報告されています。例えば、ウォーキングやジョギングなど、汗をかく程度の30~60分の運動を週に3回以上のペースで継続すると良いでしょう。
睡眠や休息を十分に取る
腸の働きは自律神経と深く関わっています。睡眠不足やオーバーワークなどで自律神経が乱れると、腸内環境の乱れにつながる可能性もあります。質の良い睡眠を十分に取り、しっかりと休むことを心がけましょう。
ストレスを解消する
不安やストレスを感じると、自律神経を通じて腸の働きが乱れてしまい、下痢や便秘を引き起こす原因となります。また、腸内細菌にも影響し、腸内環境が乱れることも。疲れやストレスを溜め過ぎないようにし、リラックスする時間を持つことが大切です。
サプリメントや整腸剤を活用する
腸内環境を整えるためには、乳酸菌・ビフィズス菌・酪酸菌などの善玉菌であるプロバイオティクスを、日常的に摂取することが大切です。ただし、酪酸菌のように限られた食品にしか含まれない菌もあり、普段の食事だけで十分に摂取するのは難しい場合も。効果的な腸活を行うために、乳酸菌や酪酸菌などの善玉菌が配合されたサプリメントや整腸剤を日常生活にプラスするのもおすすめです。
食事と生活習慣の工夫で腸内環境を整え、健やかな毎日へ
腸内環境を整えるためには、まず食事の改善が重要です。善玉菌(プロバイオティクス)と、そのエサとなる食物繊維やオリゴ糖など(プレバイオティクス)を組み合わせて摂取することで、腸内フローラのバランスを保つことが期待できます。必要に応じて、乳酸菌や酪酸菌を含むサプリメントや整腸剤を取り入れるのも良いでしょう。また腸内環境は食事だけでなく、生活習慣とも深く関連しています。適度な運動や十分な睡眠、ストレスの管理も腸の働きを整えるために欠かせません。腸の健康は、全身の健康にもつながっています。腸内環境を整えて、心も体も健やかな毎日を目指しましょう。
- [参考文献]
-
- ・「健康の土台をつくる 腸内細菌の科学」内藤裕二, 日経BP,2024
- ・「腸すごい!医学部教授が教える最高の強化法大全」内藤裕二,文響社,2022
- ・「100歳腸寿食」内藤裕二,ワン・パブリッシング,2024
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